真夏の夜の夢(Ein Sommernachtstraum, A Midsummer Night's Dream)
                                     第262回目の公演   2006年6月28日(水)



ウィリアム・シェイクスピア原作によるジョン・ノイマイヤーのバレエ

感謝とともにアウグスト・エヴァーディングに捧ぐ


音楽 フェリックス・メンデルスゾーン・バーソルディ
ジョルジ・リゲッティ、伝統的なオルゴール音楽
振付・演出 ジョン・ノイマイヤー
舞台美術・衣裳 ユルゲン・ローゼ 指揮 ハワード・ウィリアムズ
演奏 フィルハーモニカー・ハンブルク



プロローグ
結婚式前夜

ヒポリタ エレーヌ・ブシェー
ヘレナ ジョエル・ブーローニュ
ハーミア アンナ・ポリカルポヴァ
ヒポリタの友人
オデット・ボーヒェルト、ジョージーナ・ブロードハースト、
カトリーヌ・デュモン、ステラ・カナトゥーリ
リサ・トッド、マリアナ・ザナットー
デメトリアス、会計官 アレクサンドル・リアブコ
二人の兵士 ティアゴ・ボーディン、エミル・ファスートディノフ
ライサンダー、庭師 イヴァン・ウルヴァン
シーシアス、アテネの大公 オットー・ブベニチェク
フィロストレイト、余興の監督官、シーシアスの廷臣 服部有吉

職工たちのグループ
ツェッテル、機屋 ロイド・リギンズ
フラウト、ステファノ・パルミジャーノ
スケンツ、大工 ジョゼフ・エイトキン
シュルッカー、仕立て屋 エドウィン・レヴァツオフ
シュナウツ、鋳掛屋 クサノ・ヨウスケ
シュノック、指物師 コンスタンティン・ツェリコフ
クラウス、オルゴール廻し エデュアルト・ベルティーニ

お針子たち
クリステル・チェンネレッリ、フィリパ・クック、ゲイレン・ジョンストン、
イリーナ・クロウリコヴァ、ステファニー・ミンラー、カロリナ・マンクーソ、
アンナ・Rabsztyn、ミリアナ・Vracaric、チェルシー・ウィンター、
ディナ・ツァリポヴァ
宮廷画家 ウラディミル・ハイリアン
会計主任 オーカン・ダン
廷臣 ハンブルク・バレエ学校

第一幕


ティターニア エレーヌ・ブシェー
オーベロン オットー・ブベニチェク
パック 服部有吉
くもの巣 カトリーヌ・デュモン
豆の花 アンナ・ラウデール
カラシナの種 オッデト・ボーヒェルト
 ヨハン・ステグリ
ティターニアのお供
シルヴァーノ・バロン、ステファン・ボウゴン、アントナン・コメスタッツ、
オーカン・ダン、ボイコ・ドセフ、エミル・ファスートディノフ、
ウラディミル・ハイリアン、キラン・ウェスト
ティターニアのお気に入りの妖精 ヤロスラフ・イヴァネンコ
妖精
オデット・ボーヒェルト、ジョージーナ・ブロードハースト、
クリステル・チェンネレッリ、フィリパ・クック、、ゲイレン・ジョンストン、
ステラ・カナトーリ、イリーナ・クロウグリコヴァ、
カロリーナ・マンクーソ、ステファニー・ミンラー、大石裕香、
アンナ・Rabsztyn、リサ・トッド、ミリアナ・Vracaric、
チェルシー・ウィンター、マリアナ・ザナットー、ディナ・ツァリポヴァ


第二幕
目覚めと結婚式

ヒポリタ、へレナ、ハーミア、
シーシアス、デメトリアス、ライサンダー、フィロストレイト
 と

宮廷の人々
ゲイレン・ジョンストン、ウラディミル・ハイリアン
ステラ・カナトゥーリ、シルヴァーノ・バロン
ステファニー・ミンラー、アントナン・コメスタッツ
マリアナ・ザナットー、ステファン・ボウゴン
デメトリアスの付添い人
カトリーヌ・デュモン、ティアゴ・ボーディン
アンナ・ラウデール、エミル・ファスートディノフ
ヘレナの(花嫁の)付添い人
フィリパ・クック、アンナ・Rabsztyn、
ミリアナ・Vracaric、ディナ・ツァリポヴァ
ライサンダーの付添い人
アルセン・メグラビアン、ヨハン・ステグリ
オデット・ボーヒェート、フロレンチア・チネラート、
カロリナ・マンクーソ、リサ・トッド
ハーミアの(花嫁の)付添い人
ジョージーナ・ブロードハースト、クリステル・チェンネレッリ

大石裕香、ルチア・ソラーリ
ヒポリタの付添い人
ハンブルク・バレエ学校


ディヴェルティスマン
ピラマスとシスビー

ツェッテル/ピラマス ロイド・リギンズ
フラウト/シスビー 
ステファノ・パルミジャーノ
スケンツ/森 ジョゼフ・エイトキン
シュナウツ/森 クサノ・ヨウスケ
シュルッカー/月 エドウィン・レヴァツォフ
シュノック/ライオン コンスタンティン・ツェリコフ
クラウス/オルゴール回し エデュアルト・ベルティーニ










 


この公演をご覧になった方々に感想をお願いしました。
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まず
moeさんです。moeさん、感謝です。

ファンタジックでコミカルでミステリアス、サプライズ一杯の素敵な作品です。

ユニークな振り付けと共に、舞台美術・衣装もとても斬新でインパクトがあります。

特に森の中のシーンの幻想的な事。ヒポリタがソファーの上で眠りに落ちるとすぐにそのソファーはヒポリタをのせたまま舞台袖にすっーと下がり、後ろの幕が開くとそこに現れるのは、舞台奥一杯に煌く満点の星空と、中央に青白く銀色に輝く3本の大きなオリーブの木。舞台に白い霧が流れ込んで来る中、銀色に輝くぴったりした全身レオタードに同じくウロコのように銀色にキラキラと光る水泳キャップのような帽子をぴたっとかぶったダンサー達が、一人又一人とゆっくりゆっくりと登場するシーンに、一瞬にして観客は夢の世界に引き込まれます。

妖精達の振り付けは、アクロバット体操のように複雑に組んだり、崩れたり。ダンサー達の身体能力に驚くばかりです。勿論、結婚式の祝典場面ではクラッシックな踊りも華やかに披露されます。

主なキャストは三組の男女とパック、そして愉快な村の職工達ですが、なんと言っても、この夜の主役はティターニア/ヒポリタを演じたエレーヌ・ブシェでした。スリムで均整の取れた肢体をたおやかにしならせるように踊る姿は堂々と自信に満ち、テクニックも表現力も豊かで、プリンシパルとして今後の活躍がとても楽しみになりました。

オットー・ブベニチェクはオーべロン役では威風堂々、凛々しくて威厳に満ち、エレーヌをしっかり支える姿も大層頼もしく、イリ・ブベニチェクと並んで得難い存在感を持っているダンサーだと改めて感じました。

舞台狭しと飛びまわるいたずら者のパック役は服部さんにうってつけでしょう。オーべロンにとっちめられて、首をすくめている姿は愛嬌タップリで憎めません。カーテンコールでは観客から盛大な拍手と歓声がおくられ、ハンブルクのバレエ・ファンから愛されている事がよく分りました。服部さんも今期限りと思うと本当に残念です。

芸達者なロイド・リギンスとその仲間達は大いに笑わせくれました。今年真っ赤なポワントを履いたのは、ステファーノ・パルミジャーノで、女装姿で踊る姿は何とも愉快でした。

アンナ・ポリカルポヴァとイヴァン・ウルバンはリラックスして楽しそうに、愛一杯のカップルを演じていました。

予想外に笑わせてくれたのが、ヘレナとデメトリアスを演じたジョエル・ブーローニュとアレクサンドル・リアブコ(サーシャ)のカップルです。サーシャは事ある毎に胸はって忙しく敬礼を繰り返し、指で口ひげをピンと伸ばす仕草の連続で、コミカルな演技はまるで「眠りの森の美女」のカタラビュットのよう。普段クールビューティに見えるブーローニュが、意外とお茶目でメガネ姿もとてもキュートでした。

結婚式典が終わって、これで物語りもお終いかと思ってると、フィロストラート役の服部さんが出てきて、一輪のバラの花を放り投げて袖に下がります。なるほど〜彼とパックは同じ人物と言う事を示唆しているのかしら・・・と考えを巡らしていると、舞台は暗転して再び森の中へ。そこには眠りからさめたティターニアとバラ一輪を持つオベロンの姿が。

果たして夢を見ていたのはティターニアかヒポリータのどちらなのか。

はたまた観客が見たものは総て夢だったのか・・・・まことに夏の夜にふさわしいファンタジックで楽しい作品でした。
(2006年7月22日、moe)
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次にmaddie さんからです。

ヒポリータ/タイターニアを踊ったエレーヌ・ブシェが素晴らしく成長していたことは本当に嬉しい驚きでした。プリンシパルの風格というか自信にあふれていてキラキラ輝いていました。まだ若いし、これからもっともっと伸びると思いますのでこの先がとても楽しみです。

今年の見た「真夏」は客席からの笑い声も含めて、昨年よりパワーアップしたように感じました。とにかく面白かったです。ダンサーがみんな役者だし、特にロイド・リギンズのボトム(ハンブルクのキャスト表によると役名は”Zettel”とありますが)には爆笑でした。ほんのちょっとした目の動きだけで笑わせてしまうのですから、明日から喜劇役者に転職しても、絶対に成功すると思います。劇中劇で“シスビー”を踊ったステファノ・パルミジャーノのポワント・ワークも見事で、大いに笑わせてくれました。

楽しみにしていたセバスチャン・ティルの“月”を見ることが出来なかったのが唯一の心残りです。ソフトな笑顔と表情がユーモラスで出番はあまり多くないのに、すごく印象に残っていました。怪我だそうで、今回はどの演目にも出演していませんでした。

ディミトリアス役のアレクサンドル・リアブコの「まじめにとぼけている」風情は出てくるだけで大いに笑わせてくれましたし、ヘレナ役のジョエル・ブーローニュと息もぴったりのカップルでした。ジョエルは「徹底的に三枚目」の役を心から楽しんで踊っているようですね。

パック役の服部さんはまさに適役ですね。小悪魔とも、無邪気な悪がきとも取れるパックでした。ガラの「ニジンスキー」を見ることが出来なかったのは残念でしたが、はじけるようなパックを見ることが出来たので満足です。

「真夏」はいろいろな振付家のバージョンがあってそれぞれに魅力的だと思います。帰国後マイヨーの新作「Le Songe」も見ました。でも個人的にはノイマイヤーの「真夏」が最高だと思っています。エンターテインメント性もあって大いに笑わせてくれるいっぽうで、余韻の残るフィナーレが用意されているし、魅力あふれる作品です。始めて見たノイマイヤー作品ということもあるので、私にとっては特別な作品だということもあるかも知れませんが。来年のレパートリーにこの作品が入っていないのが残念です。
2007年1月12日  maddie)
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